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【コラム】地域で精神科疾患の患者さんを支えるために

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 精神科疾患が関係しているのではないかという報道で目につくことがあります。2016 年7 月に神奈川県相模原市の障害者支援施設において殺傷事件が発生しました。事件が精神疾患を生じ犯行時、治療の対象であったかははっきりわかっていません。しかし、被疑者が措置入院の経過があることもあり、この事件をきっかけに措置入院の今後の在り方について検討されています。

 現代社会は、情報が溢れ報道も様々な角度で手に入れることができる。事件が起き、法律が改正されたということがクローズアップされると精神障害者の偏見や差別が助長されることも考えられます。しかし、このような事件を起こす可能性があるのではないかと言う偏った考え方につながることも考えられます。

 精神科病院を退院した患者さんが地域で生活して行く時には、支援が必要な場合もあります。家族と同居を約束に退院しても継続が出来ないこともあります。患者さん、家族だけでは生活が困難なことも起こります。何かが起こった時、家族が問題に直面することも多くあります。どうしたらいいのかと思い悩む時すぐに親身に献身的に相談できる人が必要です。

 諸外国、カナダ、イタリア、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツでは、人口10~20万人に1つの地域精神保健センター(チーム)が、キャッチメントエリア内の地域住民の精神保健医療福祉に責任を持つシステムが存在しています。同じアジアの香港では、統合失調症患者による事件、事故をきっかけとして政府主導で「精神障害者が地域に受け入れられ、定着した生活ができるための地域モデル」の構築を開始。2012年~香港を18地区に分け、1地区に1つ地域精神保健センターを設置(NGOによる運営)。外来医療を軸にケースマネジャーが家庭訪問の実施等を行いケアの計画・調整を実施しています。

 日本も諸外国に遅れをとっている状況ではありません。地域で精神障害者を支える機関があります。行政機関の保健センター、地域障害者支援センター、様々な施設、訪問看護も関わりを持っています。

 支援する機関があっても、どう支援チームが役割分担をし、連携し患者さん、家族を支えるのかが重要です。各機関がバラバラに支援しても良い支援につながりません。支援策は医療による支援と住民福祉の考え方に基づいて検討していく必要があります。

 入院中から関わりをもち、措置解除後まで、患者が医療・保健・福祉・生活面での支援を継続的に受け、地域で孤立することなく、相談したいときにすぐに相談できることで安心して生活を送れるようになります。制度の運用面見直しだけでなく、実質的な支援も重要です。地域支援は変化をより早く察知し安心、安全につなげることができます。

 入院中から関わりを持ち、地域での継続には、訪問看護師は必要な存在です。病院内の医療スタッフや状況は良く理解しています。また、退院後の地域サービスがどのように展開されどのような人が地域の支援者として存在しているのかもよく解っています。

 表情が変わった、言動が違うなど関係の中で変化がつかめ、患者さんと家族との関係が良好であると変化について話し合うこともできます。患者さん、家族から相談もしてもらうことができます。

 措置入院患者の退院後の支援体制が不十分であることが従来から指摘され、地域格差もあると言われてきました。法の改正は、全ての人々がお互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会を実現していくことが重要です。誰もが地域社会の一員として平穏に生活する権利があります。どのように地域社会で支えていくのかも考慮していく必要があります。地域の平穏は、痛ましい事件が起こらないことにつながって行きます。

質問 Oct 29, 2016 公開 提案 事務局 (5,140 ポイント)

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